文化の日。
店を開ける準備をしていると、ご近所の古書善行堂のご主人が
「この本、どうぞ!」と、大急ぎで1冊手渡してくださいました。
知恩寺秋の古本市からの帰りにお立ち寄りいただいた様ですが、風のごとく帰って行かれました。おそらく、ご自身のお店の開店準備が間に合わないからかとお察しします。
さて、善行さんは時折私が大喜びする本をプレゼントしてくださいます。今回もこの本のタイトル「ミツバチのたどったみち」に心踊りました。昭和45年に発行されたこの古書はハトロン紙に包まれた表紙も中のページも、そっと扱わなければならない程もろい状態です。
そっとページを開いて「はじめに」を読むと思わずクッスっと笑ってしまう文章で始まっていました。
>「またミツバチの本!この虫についてはレオミュールからメーテルリンクをへてフォン・フリッシュにいたるまでに、もうあらゆる点がいいつくされているではないか」中略『ミツバチの生活と習性』の序文を、著名な生物学評論家ジャン・ロスタンはこのような言葉ではじめている。”にもかかわらず”この本がユニークな点にみちていることが、つづいてのべられていることはいうまでもない。
「この虫」という表現はいささか嫌味に聞こえますが、確かに次から次へミツバチに関した本が今もなお出版されています。
>一つの問題の解明は、ただちにいくつかの疑問の出現につながる。
本当にこの一文に尽きると思います。ミツバチの不思議には終わりがないのだと。特に関わった在来種であるニホンミツバチについては、そう感じています。
著者である坂上昭一先生のことは恥ずかしながら存じませんのでググると1996年にご研究中に亡くなられたとか。じっくり読みたいと思います。
善行さん、文化の日にぴったりなプレゼントをありがとうございました!